乾燥するほど成分が浸透しない?40代の肌に起きているバリア機能低下の話

冬は誰であれ、乾燥を感じやすい

冬になると、
普段は皮脂が多めの方でも、乾燥を感じやすくなります。

私も夏はべたつきがあり、
常に乾燥しているわけではないのですが、
冬の乾燥には手を焼いています。

保湿をしているつもりでも、
塗ったそばから、数分もすると乾き始めるような感覚。

この時期の肌はただ乾かすだけでなく、
成分を受け取りにくい状態に傾きやすいと感じています。

外からスキンケアを重ねるだけでは追いつかないとき、
肌の中では入り口が狭くなるような
変化が起こっていることがあります。


冬の肌はまず「水分が抜けやすい」

冬は湿度が低く、外気がとても乾燥しています。

角層の水分が奪われやすく、
研究でも、冬の低湿度下では
角層水分量が15〜30%ほど低下しやすい
という報告があるようです。

まず起こっているのは、
肌の水分が自然に逃げていくという冬ならではの季節の影響です。

角層の水分が減っていくと、何が起こっているかというと、
まず、細胞同士が詰まり、
肌の表面の柔らかさが失われやすくなる。

その結果、
・通り道が細くなる
・角層の並びが乱れやすくなる
・成分がまっすぐ進みにくくなる

といった
「スキンケア成分の肌への入りにくさ」
につながる変化が起こってきます。

冬になるとスキンケアの実感が変わるのは、
こうした小さな変化が重なるためだと思っています。


皮脂の減少で蒸発しやすさが加速する

気温の低下にともない、皮脂の分泌量さらに少なくなります。

皮脂はもともと水分蒸発を防ぐ役割を持っていますが、
これが薄くなることで、

・保湿の持続力が低下なる
・乾燥が早まる
・成分が肌の上で浮きやすい

など、冬特有の乾燥状態が起きやすくなります。

さらに肌を構成する成分でもある、
セラミドの量の低下も浸透しにくさに影響しています。

40代以降は、角層に含まれるセラミド量が自然と低下します。

セラミドはバリアの要ともいえる存在。

不足すると、

・水分保持がむずかしくなる
・ラメラ構造が不安定になる
・成分が均一に進みにくくなる
という変化が起き、

乾燥だけでなく「浸透しにくい肌」につながりやすくなります。


冬は成分が入りにくくなる条件が重なりやすい

✔ 低湿度で水分が奪われる
✔ 角層が硬くなり、柔らかさが失われる
✔ 皮脂が減り、蒸発しやすさが増す
✔ セラミドが減り、経路が不安定になる

この複数の条件が重なることで、
保湿をしても満たされにくい季節になるのだと思います。

だからこそ、
成分の種類を変えるだけでは実感につながらない
時期があるのだと思います。

冬のスキンケアを考えるとき、
大事なのは 何を入れるかより先に
どう受け取れる肌にするか
という見方。

角層が硬く、経路が狭くなった肌状態では、
どれだけ良い成分でも浸透しにくいことがあります。

そうなるとやはり、
美容医療で古くから使われてきた導入技術の話が出てきます。


バリア層の奥まで届けるイオン導入

肌にはそもそも、異物を入れないためのバリアがあります。

ここを非侵襲的に越える方法として考えられたのが、
イオン導入(iontophoresis) という技術。

この考え方は実は古く、
18〜19世紀のヨーロッパで
電気の力で薬剤を体内に送り届ける
という研究が始まったと言われています。

1900年代には、
フランスの研究者 Stephan Leduc らが
電流を利用して薬剤を皮膚から送達する実験を行い、
これが現在のイオン導入の原型になっています。

医療の現場では、
麻酔薬や皮膚疾患の治療薬、多汗症のケアなどにも使われ、
皮膚から成分を届ける方法として長く研究されてきました。

美容の分野でも、
ビタミンCなどイオン化された成分をしっかり肌の奥まで届ける目的で
数十年前から導入されてきた技術です。


イオン導入にはできないことがある

イオン導入は、
電荷を帯びた成分(イオン化される成分)でなければ使えなかったり、
分子量の大きい成分は導入しにくかったりと、
いろいろな制約もあります。

安全性は高い一方で、
万能ではない技術、というバランス。

こうした背景もあり、
より幅広い成分を届けるための技術として
エレクトロポレーション が登場します。


冬は、肌が乾くだけでなく、
成分そのものが入りにくい肌になりやすい季節。

その背景には、
水分の蒸発 → 角層の硬化 → 経路の乱れ
という関連した体の変調が主な原因になっている可能性が高いです。

だからこそ、
使う化粧品の成分を変えるより前に、
肌の浸透を高めるための準備を考えることが
冬の美容医療では大切になると感じています。


【参考文献】

  1. Fujimura T, et al. Dry skin in the winter is related to the ceramide profile in the stratum corneum. 2013.
  2. 石井ら. 身体各部位における皮表角層水分量の季節的変化とそれに関与する因子. 1983.
  3. Fujita et al. 気象要素が皮膚に及ぼす影響.
  4. Stratum Corneum Function: A Structural Study with Raman Microscopy. 2021.
  5. Ceramides and skin barrier function: a review.
  6. Iontophoresis historical overview – ScienceDirect Topics
  7. Leduc S. Electrotherapeutic experiments (ion transfer), early 1900s.
  8. Transdermal iontophoresis for drug delivery – PubMed / PMC

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