運営に医療の哲学はあるか?──非常勤医師ばかりの現場で、誰が責任を取るのか

「担当の先生、もう居ないみたい…」
ある美容クリニックに通っていたときのこと。
診察室に入った瞬間、「あれ、先生が違う」と気づいた。
もちろん事前に連絡はなかったし、カルテの共有も浅かった。
それでも淡々と進む施術。
細かい希望や過去の経緯についても「また1から話すしかない」という空気が流れていた。
──この診察の一貫性のなさ、や医師の退職は、医師個人の問題ではなく、
運営側の設計に根本的な課題があるのでは?と感じた瞬間でした。
非常勤医師で回す現場に起きていること
美容医療の多くは、非常勤医師の勤務で成り立っています。
それ自体が悪いわけではありません。
でも、「誰がその場に責任を持っているのか」が不明確なまま進行してしまう現場も、決して少なくない。
- 医師が曜日ごとに変わる
- カルテの共有は最低限
- トラブル対応時、指示系統が曖昧
そうした場面に直面すると、
「医師が良い悪い」ではなく、構造としての不安定さが透けて見えてきます。
「理念の不在」が、患者の不信感につながっていく
本来、どんな医療でも考え方があるはずです。
「うちは自然な仕上がりを大事にしている」
「患者さんとの信頼関係を最優先している」
──そうした医療の哲学のようなものが。
でも、いざ現場に行くと、
そうした方針が非常勤医師にまで浸透していない。
スポットバイトで回しているクリニックを受診するたびに説明のトーンや施術内容が違う。
つまり、「誰が決めていて、何を大切にしているのか」が見えない。
それが、患者の「なんとなく不安」に直結しているのではないでしょうか。
運営と現場が分断しているクリニックもある
実際に、こうしたケースはよく見かけます。
- 理事長や経営陣が現場に関与していない
- 医師の採用やスケジューリングが業務委託頼み
- ブランディングと実態がかみ合っていない
現場に任せっぱなしの状態が続くと、
医師もスタッフも「誰の考えで動いているのか分からない」まま働くことになります。
結果として、意思統一ができず、クレームやトラブルにも一貫した対応ができない。
「このクリニックを信じていいのか?」の根拠が曖昧になる
自由診療の美容医療では、保険診療のような制度による保証がありません。
だからこそ、信頼の土台は「人」ではなく「仕組み」で担保されるべきなのに、
そこが設計されていないと、「信じる根拠」が弱くなってしまう。
信頼できるクリニックには、施術力だけでなく、
スタッフ間の連携や方針の一貫性といった目に見えにくい構造がある。
その構造があってはじめて、
「誰に当たっても大丈夫」「任せても安心」という空気が生まれるのだと思います。

