美容医療のリアル｜高齢化社会で増える「シニア美容医療」という選択
北條渚
目次
- 「今さら美容？」という違和感の正体
- 広がるシニア美容の代表施術
- 高齢化社会が後押しするニーズ
- 人生の節目に選ばれる理由
- 美容医療は「社会のQOL」を支える存在に
1. 「今さら美容？」という違和感の正体
「もう年だから」「今さらキレイにしてどうするの？」──
シニア世代が美容医療を検討するとき、そんな声にためらってしまう方もいます。
実際、私自身も取材や現場でそうしたつぶやきを耳にすることがあります。
けれど、クリニックの雰囲気を見ていると、
50代以降の方がむしろ主役になっている場面が少なくありません。
「若さに戻りたい」のではなく、「これからの時間をどう過ごすか」
を考えたときに、美容医療が選択肢に入っているのだと思います。
2. 広がるシニア美容の代表施術
実際にシニア世代に人気が出ている施術には、こんな傾向があります。
- 介護脱毛
将来、介護を受ける立場になったときに清潔を保ちやすいように──。そんな思いからVIO脱毛を選ぶ方が増えています。介護現場の声でも「お世話がしやすくなる」と言われていて、ご本人と周囲の両方にメリットがあるのだと感じます。 - ご褒美の糸リフト
子育てや仕事を一区切りしたあと、「やっと自分に手をかけてもいいかな」と思える年代に選ばれやすいのが糸リフトです。切らずに受けられて、ダウンタイムも少なめ。旅行や同窓会を控えている方から「写真が楽しみになった」という声もよく聞きます。 - シニアメンズ美容
男性もここ数年で一気に増えてきました。シミ治療やヒゲ脱毛など、理由はとても実用的。「再就職での第一印象に自信を持ちたい」「地域活動で人と会う機会が増えたから清潔感を整えたい」など、生活の延長線上にあるのが特徴的です。
3. 高齢化社会が後押しするニーズ
日本は今、65歳以上が3,600万人を超える超高齢社会。
平均寿命は延びていますが、健康寿命との差はおよそ10年あるとも言われています。
その余白の10年をどう過ごすのか──。
そこで美容医療を選ぶ方がいるのも、
ごく自然な流れなのかなと感じます。
「もう年だから諦める」より、「まだ楽しみたい」や
「自分らしくいたい」。
そういう想いが、施術選びの後押しになっているように見えます。
4. 人生の節目に選ばれる理由
実際のエピソードを少し。
ある女性は、娘さんの結婚式をきっかけに糸リフトを受けました。
「一生残る写真だから、少しでも明るい表情で写りたかった」と、
照れくさそうに笑って話してくれました。
また、定年後に新しく事業を始める男性は、まずシミ取りから挑戦。
「第一印象に自信を持てるだけで、こんなに前向きになれるなんて」と
驚いていたのが印象的でした。
外見の変化以上に、その人の気持ちが変わっていく様子をそばで見ると、
美容医療の意味合いがまた違って見えてきます。
5. 美容医療は「社会のQOL」を支える存在に
介護脱毛は介護の負担を軽くし、糸リフトは人生の節目を彩り、
シミ治療は社会参加を後押しする。
それぞれの背景を聞くと、シニア美容は単なる若返りではなく、
暮らしや社会のQOLを支えているのだと感じます。
美容医療を選ぶ理由は、人それぞれ。
「介護のことを考えて」「人生の節目に自信を持ちたくて」
「これからの時間をもっと楽しみたくて」。
どの選択にも、その人なりの物語が隠れています。
それは誰かと比べるための美しさではなく、自分が納得して歩んでいくためのもの。
高齢化社会のいま、「シニア美容」という言葉が当たり前になってきた背景には、
そうした小さな物語の積み重ねがあるのだと思います。
──これからの人生をどう彩っていくか。
その選択肢のひとつとして、美容医療がそっと寄り添ってくれる未来は、決して悪くないはずです。
