美容医療のリアル｜保険医療と美容医療の付き合い方
北條渚
美容はぜいたく？という思い込み
美容医療は「自由診療＝ぜいたく」というイメージがつきまといがちです。
一方で、保険診療は「体に必要だから当たり前」と思われています。
でも実際には、両者はきれいに線引きできるものではなく、
むしろ生活の中で重なり合う部分が多いのではないでしょうか。
両方にお世話になっている40代の現実
たとえば、皮膚科で年齢とともに増える首イボを治療したり、
花粉症やアレルギーから来る湿疹に薬を処方してもらったり、
あるいはトラネキサム酸やビタミン剤を内服で補ったり。
そんな健康管理の延長としての受診と同時に、美容皮膚科ではシミやたるみを整える。
婦人科で更年期の不調を見てもらいながら、美容医療で肌のハリや清潔感を保つ。
実際には私たちは
「どちらか一方」ではなく「両方にお世話になっている」のです。
40代女性のリアルな日常は、健康と美容の板挟み。
体調と見た目、どちらも放置できないからこそ、
両方に手を伸ばしているのだと思います。
健康と美容を切り離す社会の価値観
ところが社会の中では、保険診療と自由診療は別物とみなされがち。
健康診断は義務感を持って受けるけれど、
美容医療は「余裕がある人だけのこと」とされやすい。
でも、体の状態が見た目に直結することは多くの人がすでに実感しています。
睡眠不足で肌が荒れる、ホルモンバランスの乱れで髪や肌に影響が出る。
それなのに「健康」と「美容」を分断して考える価値観が、
まだ社会に根強く残っているのです。
なぜ見た目投資が先行し、健康が置き去りになるのか
美容医療は成果が目に見えやすいからこそ投資しやすい。
シミが薄くなる、肌が明るくなる、たるみが改善する──。
健康診断の数値が数カ月後に改善するよりも、
施術直後に鏡で変化を実感できる方がモチベーションにつながりやすいのです。
一方で、健康は目に見えにくい。
血液検査の数値や内臓の状態は日常生活で実感しにくく、
「また今度でいいか」と後回しにされやすい。
結果として「見た目優先・健康後回し」という偏りが生まれます。
さらに中には、健康を害してでも表面を取り繕おうとする人もいます。
過度なダイエットでホルモンバランスを崩したり、睡眠を削って施術に通ったり。
短期的には美しく見えても、
長期的には体に無理が出てしまうケースは少なくありません。
健康と美容の両面がバランスを欠いたとき、その歪みは必ずどこかで現れます。
それは肌トラブルかもしれないし、慢性的な体調不良かもしれない。
いずれにせよ「どちらか一方に偏った投資」は、
長期的には自分を苦しめてしまうのです。
両立という新しい習慣へ
保険医療は体を守るため、美容医療は生活を豊かにするため。
両方を切り離すのではなく、
生活の中でどう組み合わせていくかが大切です。
「健康診断は受けるけれど、美容医療は後回し」ではなく、
「健康と美容は同じくらい大切」と考える視点を持つこと。
それこそが、40代以降を前向きに生きるための
新しい習慣になるのではないでしょうか。
