制度に誠実さはあるか?──美容医療スタッフが「育たない・続かない」構造の正体

「定着しない現場」の裏側にあるもの
前編では、「なぜ、美容医療の現場では人が定着しにくいのか?」という視点から、
非常勤医師による日替わりの体制、属人的なマネジメント、教育制度の不在など、
構造的な未整備について考察しました。
でも今回は、もう一歩踏み込んでみたいのです。
制度や評価のしくみ──
つまり、その職場でどう働けば、どう報われるのかというルールが、
そもそも信頼に足る仕組みになっているのか?という問いについて。
「やったもん勝ち」な現場が、人を離れさせる
美容医療業界では、売上インセンティブが評価基準の中心に置かれていることが多く、
その一方で「教育の時間」や「新人育成」「チーム貢献」は可視化されにくい貢献として扱われがちです。
頑張っても報われない。
数字に出ない努力は、評価されない。
そんな風土があれば、誰も長く留まろうとは思いません。
たとえ一時的にやる気のあるスタッフが集まったとしても、
育つ環境がなければ、いずれ疲弊して去っていきます。
制度は、「信頼される職場」をつくる土台
働くスタッフにとっての“安心”は、給与額だけでは得られません。
・何を評価してくれるのか?
・どう頑張れば、どう返ってくるのか?
・自分が果たしている役割は、正しく見られているのか?
そうした「見えにくい不安」を制度で埋めることが、
辞めたくならない職場づくりの第一歩だと思うのです。
「評価されるのは数字だけ」では、もう限界
もちろん、美容医療の現場は商業的側面を持っています。
数字が無視されるべきではありません。
でも──
患者さんとじっくり向き合う時間、
スタッフの教育に費やすエネルギー、
クレームの火消しに走り回る神経戦。
それらを「数字にならない仕事」として切り捨ててしまえば、
誠実に働く人ほど損をする現場になってしまう。
評価制度は、「正直者がバカを見ない」設計であるべきです。
「続けたくなる職場」をつくるには?
評価の設計を、変えていくこと。
報酬のルールを、言語化すること。
そして、感情論ではなく「仕組み」で信頼関係をつくること。
美容医療の現場が個人の献身ではなく組織の仕組みで成り立つ未来へ。
小さな職場でも、始められる改善のヒントを、次回以降でも少しずつ掘っていきたいと思います。

