クセ毛の正体は、遺伝だけじゃなかった──熱変性という、髪の構造変化の話【別冊40代美容医療NOTE】

1. クセ毛は遺伝だけじゃない?と思い始めたとき
「最近、クセが強くなった気がする」
「昔より髪が広がりやすくなった」
「ストレートにしても、持ちが悪くなってきた気がする」
そんなふうに感じたことはないでしょうか?
私もずっと、「これは年齢のせいかも」「湿気かな」と思っていました。
でもあるとき──
実は、毎日の“ある習慣”が、
髪の構造そのものを変えていたかもしれないと気づいたんです。
そのキーワードが、「熱変性」でした。
2. 「熱変性」ってなに?
髪の主成分は、「ケラチン」というタンパク質。
このタンパク質、実は熱にとても弱くて──
卵をフライパンに落としたとき、白身がじゅわっと白く固まりますよね。
あれと同じようなことが、私たちの髪にも起きているんです。
ドライヤーの熱(約100〜120℃)、
ストレートアイロンの熱(180℃以上)。
高温が繰り返しかかることで、髪内部のタンパク質が変質し、
一度変わると、元の状態には戻らない。
これが、熱変性(ねつへんせい)です。
3. 熱変性が起きると、髪はどうなる?
熱によって髪のタンパク質が変質してしまうと、
見た目はそこまで悪くなくても、内部では深刻な変化が起きています。
- 水分を保持できなくなり、パサつきやすくなる
髪の中にあった“潤いを抱える力”が失われて、保湿系のケアをしてもすぐ乾いてしまう。
潤ってると思っても、数時間後にはバサバサに戻る──そんなループ。
- 髪の構造がゆがみ、うねりが出やすくなる
元々ストレート寄りだったはずの髪も、熱の蓄積で繊維構造がゆがみ、クセが出るように。
「昔よりうねりが強くなった気がする…」という変化は、熱ダメージの蓄積かもしれません。
- 内部に空洞ができ、スカスカで広がりやすくなる
キューティクルの奥にあるコルテックス(髪の芯)に空洞ができ、髪そのものが“軽くて浮きやすい”状態に。
湿気を含むとすぐ膨張し、乾燥すると静電気のように広がる。
表面だけ見ると、ツヤっぽく整って見えることもあります。
私も実際、ヘアオイルや補修ミストでごまかせてるつもりだった。
でも、内部がスカスカなままでは、いくら上から塗り重ねても定着しない。
夜しっとりしていても、朝にはもうパサついている。
「せっかくケアしてるのに…」という残念感だけが増していった。
髪って、見えるところより“中身”が大事なんだなと、
この頃ようやく気づき始めました。
4. 私も、ちゃんとケアしてたつもりだった
アイロンも、ドライヤーも、ちゃんと使ってた。
乾かす順番も守ってたし、熱保護スプレーだって使ってた。
それなのに、毛先はどんどん扱いづらくなっていった。
「年齢のせいかな?」
「湿気が強いからかな?」
──でも、違ったのかもしれない。
髪そのものの構造が、熱でゆがんでいた。
表面だけが整っていても、中身が壊れていたら意味がない。
そんな当たり前のことに、ようやく気づいた瞬間でした。
まとめ|熱を“当てすぎた”その先にあったもの
クセ毛の原因は、遺伝だけじゃなかった。
日々のアイロンやドライヤーが、髪の内部構造を少しずつゆがめていた。
それが「熱変性」という現象。
ちゃんとケアしてるつもりの習慣が、
実は髪を一番遠ざけていた──
そんなこともあるんだと、今なら思えます。

