インセンティブ制度が崩すチームワーク──評価のものさしが揃わない現場の限界


大手と個人クリニックで変わる“評価の形”

美容クリニックのインセンティブ制度は、院ごとに大きく異なります。

大手では基準が明文化され、複数の数値で評価される傾向がありますが、

個人クリニックでは院長裁量が強く、評価基準が曖昧になりやすい。

そのため、同じように患者さんに貢献しても、
評価に差が出ることが珍しくありません。


指名制度と評価のズレ

スタッフ数が多くても、指名制度がうまく機能していないと、
個人の努力が数字に反映されません。

さらに、施術内容によっては「同じ医師が担当すべき」ケースも多く、
カウンセリングや準備などのスタッフ貢献が評価されない構造があります。

結果として、「誰がやっても同じ」という雰囲気が漂い、
個人のモチベーションが下がりやすくなります。


顧客満足と評価が相反する瞬間

患者満足度を追求すれば、施術やカウンセリングに時間をかける必要があります。
一人ひとりの悩みに向き合い、説明や提案も丁寧に行えば、信頼は深まりますし、
結果的にリピートや口コミにもつながります。

しかし──評価基準が「回転率」「売上額」中心になると、
こうした丁寧な対応は非効率と見なされがちです。
たとえば、

  • カウンセリングを30分かけて行ったら、その分施術枠が減る
  • 無理に契約を勧めず、患者が納得するまで時間をかけたら、その月の売上が下がる
  • アフターフォローに時間を割くほど、新規対応の時間が減る

現場では「患者満足度」「評価指標」が真っ向からぶつかる瞬間が日常的にあります。
これが続くと、スタッフは「評価される行動」を優先し、
本来の目的である患者満足よりも数字を選ぶようになります。

そして気がつけば、
現場には「数字だけを追う」文化が根づき、
チームで協力して顧客価値を高める姿勢が薄れていくのです。


なぜ業績依存になるのか

公平で明確な評価基準を作るには、
施術の質・接客・教育・チーム貢献など、数値化しにくい要素を含める必要があります。

しかし、それを正確に測る仕組みは簡単には作れません。

結果、最もシンプルで分かりやすい「売上・契約数」に頼らざるを得ず、
数字至上主義の評価制度が出来上がります。


チームワークを守るための第一歩

数字だけで評価される現場は、どうしても個人主義に傾きやすくなります。
逆に、数字以外の貢献がきちんと見られる職場では、スタッフ同士の協力が続きやすい──
現場を見ていて、そう感じる場面が何度もありました。

だからこそ、
美容医療の現場がチームとして機能し続けるためには、
評価の中に「数字以外の貢献」を必ず入れる工夫が必要だと感じています。

その第一歩は──
数字以外で評価する項目を最低3つは決めること。

例えば、教育への貢献、顧客アンケートのフィードバック内容、顧客へ口コミやSNS投稿を促すなどのアプローチ、チーム内での施術準備サポートなど。

見えない貢献を評価に組み込めれば、
「数字だけを追う」文化から、評価軸が明確な「信頼でつながる」現場へと変わっていくのではないか、と感じるのです。


💡この記事に、もし共感する方がいましたら、是非、自院での取り組みもお聞かせください。


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